「人手不足倒産」が過去最多に―いま企業に求められる対策とは?
2024年度、全国の企業倒産件数は1万件を超え
11年ぶりの高水準となりました。
中でも注目すべきは、「人手不足」を要因とする倒産が
過去最多となったことです。
これは単なる労働力の確保の問題にとどまらず
経営そのものに直結するリスクであることを意味しています。
■ 過去最多の「人手不足倒産」309件
東京商工リサーチの調査によれば
2024年度の「人手不足関連倒産」は309件(前年度比60.9%増)と、過去最多を記録しています。
中でも、「人件費高騰」「従業員退職」「求人難」といった3つの要因すべてで記録を更新しました。
- 人件費高騰:110件(前年比69.2%増)
- 従業員退職:77件(前年比57.1%増)
- 求人難:122件(前年比56.4%増)
帝国データバンクの報告でも
2024年度の倒産件数は1万70件(前年度8881件、13.4%増)となり
3年連続で前年度を上回りました。
6割以上が小・零細企業
東京商工リサーチによると
倒産企業のうち65%が資本金1,000万円未満の小・零細企業であり
人材確保と定着の困難さが、規模の小さな企業を直撃していることが分かります。
さらに、帝国データバンクでも、2013年度以来、11年ぶりに1万件を超え
負債5000万円未満の倒産が2000年度以降で最多となるなど
中小零細規模の倒産が増加しています。
■ サービス業・建設業・小売業が特に厳しい状況
業種別にみると、全業種で前年度を上回り
『サービス業』(前年度2187件→2638件)が最も多く
2000年度以降で最多です。
ついで、『小売業』(同1874件→2109件、12.5%増)
『建設業』(同1749件→1932件、10.5%増)が続いています。
これらの業種は、慢性的な人手不足に悩まされている業界でもあり
人材の採用と定着に関する施策が遅れると、倒産リスクが一気に高まることが示されています。
なお、「後継者難倒産」は507件判明し、前年度から減少も過去2番目の高水準となり
「物価高倒産」は925件判明し、過去最多を更新しました。
■ 社労士の視点:人手不足時代の経営戦略に“労務管理”の見直しを
人手不足倒産は、ただ「人が足りない」という表面的な問題ではなく
- 採用活動の効率化
- 従業員の定着・満足度向上
- 働きやすい職場環境の整備
- 人件費の適正管理
など、総合的な人事・労務マネジメントが問われている問題です。
■ 最後に:人手不足は“待ったなし”の経営課題
「うちは小規模だから」「業界的に仕方ないから」といった考え方が
倒産という深刻な結果を招く時代になりました。
人手不足に対する備えは、“明日の経営を守る保険”です。
気になる点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
中小企業の現場をよく知る社労士として
経営者の皆さまと一緒に、持続可能な働き方と強い組織づくりを支援いたします。
参考ページ 帝国データバンク「倒産集計 2024年度報(2024年4月~2025年3月)」
東京商工リサーチ「2024年度「人手不足」倒産 最多の309件 小・零細企業が押し上げ、年度初の300件台」
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